日韓関係が悪化しているというけれど
最近、日韓関係が悪化している、ということをよく言われる。
確かに、日韓関係についてのニュースを検索してみれば、
徴用工裁判であったり、海上自衛隊のレーダー照射問題であったり、
これまでではなかったような深刻なニュースが、かつてない頻度で更新されている。
しかし、日韓関係においてだけではないと思うが、二つの国の関係を扱う際、
それが政治的関係を指していることがほとんどだと感じる。
要するに、政治的側面だけを取り上げて、国家の関係が「良い」「悪い」と結論づけている、ということだ。
ただ、政治的次元だけで、国同士の関係を結論づけることができないのは当然のことで、例えば、「文化」の側面を見てみた時に、また違った関係性が見えてくる。
ここでいう文化とは、J-popや漫画などの知的資源や、それぞれの国の観光名所やグルメなどの物的資源などのことだ。
例えば、以下のサイトでは、訪日外国人数の推移のデータを表示しているが、2018年は過去最高の訪問数を記録したと同時に、訪日韓国人数も過去最高となっている。
また、以下のサイトでは、訪韓日本人数の推移を示しているが、「韓国統計庁の26日の発表によると、昨年の訪韓日本人観光客数は292万1360人で、前年から28.1%増え、09年に前年比28.7%増を記録して以来最大の増加幅となった」そうだ。
訪日外国人数の増加に関しては、2012年から発足した安倍政権の観光立国の諸政策が功を奏している部分があるのだろうし、訪韓日本人数の増加に関しては、K-popやドラマなどに代表される韓国カルチャーが、中高年層だけでなく幅広い世代に受け入れられ、浸透して来たと言うことも要因として挙げられるだろう。
ちなみに、私の実家は九州の片田舎にあるが、帰省のバスの中でも、乗客の半分以上が韓国人旅行者だったという印象が残っている。
こうした文化面での交流は、政治面での交流と比べると、フォーカスされることは多くないが、日韓関係の重要な側面であることは間違いない。
市民交流などのことを「草の根」交流とはよくいうが、こうした表面には出て来にくい、「草の根」の部分にも注目し、日韓関係の今後を見ていきたい。