日韓徒然話

日韓の色々なことについて気づいたことを徒然に綴っているブログです

日韓が協働するためには

 

日韓が協働していくためには、当然何かしらのきっかけが必要だと思うが、今回はそのきっかけとして、北朝鮮の人権問題について考えてみたい。

人権問題の中でも、北朝鮮のそれは国際的にも大きなイシューとなっているが、代表的なものとして、「強制収用所」をイメージする人は多いかと思う。

強制収用所については様々な情報がすでに入手可能だが、以下の記事から代表的なものを見ることができる。

https://the-liberty.com/article.php?item_id=12971


こうした問題について、国連を中心として各国の取り組みが行われているわけであるが、その中で、以下の記事を見ていきたい。

news.yahoo.co.jp

この記事には、国連で5年ぶりに北朝鮮での人権審査が行われた、と言うことが書かれている。

 

UPR(Universal Periodic Review、普遍的定期審査)と言う国連人権委員会による審査だが、北朝鮮は過去、09年12月と14年5月に行われ、一定の項目において人権改善勧告案を取り入れている。NGO北朝鮮人権情報センター(NKDB)」によれば、UPRを境に北朝鮮住民が人権侵害を訴える「申訴」制度ができたと言う。


一方で、その間、北朝鮮政府は一度も人権状況をモニタリングするための国連の特別報告官やNGOの訪問を受け入れていないと言う情報もある。

 

北朝鮮の人権に対する見方は、日本と韓国で当然違うし、各々の国の政権によっても当然変わってくる。

日本政府としては、拉致問題を始めとした問題の解決を抜きにして、北朝鮮を巡る国際的な動きに同調することは難しいであろうし、韓国政府としては、北朝鮮政府と融和路線を進める現政権の方針上、北朝鮮国内の人権問題に触れることは避けたいだろう。

ここでは北朝鮮の「人権」をテーマに日韓の問題を考えたが、人権の他にも普遍的なテーマはいくつか挙げられるだろう。

こうしたテーマや価値観について、日韓の違いや共通点を見出し、考えていくことは、今後、日韓が協働するにあたって、一つの有効なアプローチとなるのではないだろうか。

日韓関係が悪化しているというけれど

最近、日韓関係が悪化している、ということをよく言われる。

確かに、日韓関係についてのニュースを検索してみれば、
徴用工裁判であったり、海上自衛隊のレーダー照射問題であったり、
これまでではなかったような深刻なニュースが、かつてない頻度で更新されている。

しかし、日韓関係においてだけではないと思うが、二つの国の関係を扱う際、
それが政治的関係を指していることがほとんどだと感じる。

要するに、政治的側面だけを取り上げて、国家の関係が「良い」「悪い」と結論づけている、ということだ。

ただ、政治的次元だけで、国同士の関係を結論づけることができないのは当然のことで、例えば、「文化」の側面を見てみた時に、また違った関係性が見えてくる。

ここでいう文化とは、J-popや漫画などの知的資源や、それぞれの国の観光名所やグルメなどの物的資源などのことだ。

例えば、以下のサイトでは、訪日外国人数の推移のデータを表示しているが、2018年は過去最高の訪問数を記録したと同時に、訪日韓国人数も過去最高となっている。

chibra.co.jp

また、以下のサイトでは、訪韓日本人数の推移を示しているが、「韓国統計庁の26日の発表によると、昨年の訪韓日本人観光客数は292万1360人で、前年から28.1%増え、09年に前年比28.7%増を記録して以来最大の増加幅となった」そうだ。

www.recordchina.co.jp

訪日外国人数の増加に関しては、2012年から発足した安倍政権の観光立国の諸政策が功を奏している部分があるのだろうし、訪韓日本人数の増加に関しては、K-popやドラマなどに代表される韓国カルチャーが、中高年層だけでなく幅広い世代に受け入れられ、浸透して来たと言うことも要因として挙げられるだろう。

ちなみに、私の実家は九州の片田舎にあるが、帰省のバスの中でも、乗客の半分以上が韓国人旅行者だったという印象が残っている。

こうした文化面での交流は、政治面での交流と比べると、フォーカスされることは多くないが、日韓関係の重要な側面であることは間違いない。

市民交流などのことを「草の根」交流とはよくいうが、こうした表面には出て来にくい、「草の根」の部分にも注目し、日韓関係の今後を見ていきたい。

とある脱北者の方の話2

(前回の続き)

私が彼に脱北した理由を聞いたところ、彼はこう答えた。

 

北朝鮮では、大空を羽ばたけないと思った」

 

???

一瞬、なんのことを言っているのかわからなかった。
しかし、彼の話を聞きながら、彼が何を言いたいのかがわかってきた。

 

要するに、北朝鮮では、自分が本当にやりたいことをやる自由がない、というのだった。

ただ、それを聞きながらも、当然腑に落ちない部分がある。

実際、彼の父親は労働党の幹部で、彼自身の暮らしも、将来は約束されていたものだった。それなのに?
しかも、運よく彼が大空を飛べたとしても、残された彼の家族はどうなってしまうのか。

 

彼は言った。「私は、残される母が何を望んでいるか、本当に考えた」

彼は脱北する際、母親が自分にかける本当の願いは何なのか、何日間も考えたという。そして、母が自分にかける願いは、大空を羽ばたくことだと、そう信じて、脱北したのだそうだ。

父親が亡くなって三年が経った、父親の命日の次の日に。

 

彼は、コンビニで買ってきたあるウイスキーを飲みながら、懐かしそうに、「一緒に脱北した友人と、小さな舟の上でこのウイスキーを飲んだんだよ」と話してくれた。

 

彼の話を聞きながら、私は恥ずかしくなった。

私が北朝鮮について持っていたイメージとといえば、北朝鮮の国旗と、党の委員長と、軍事パレードで一糸乱れず行進する軍人と。

独裁政権の下、統一された価値観を持ち、自由は許されない。
北朝鮮にいる人が、未来のことを考えているなんて、考えたこともなかった。

しかし、私の目の前にいる人は、自分の人生、家族、未来、、、
それらを真剣に考えて、考えて、考えた結果、脱北するという選択をした。

 

彼の話を聞きながら、自由とは何か、そして、その自由を与えられた私は、本当にその自由を活用できているのか、ということを考えた。

 

彼とはその後、思いついたらたまに連絡をとったりする。

学業に忙しいのか、返事に少し時間差があったり、それも、彼らしいな、と思ったりする。

この文章を書きながら、久しぶりに彼に連絡をとって見ようと思う。今は何をして、活躍をしているだろうか。楽しみだ。

 

 

とある脱北者の方の話

韓国(朝鮮半島)のことを考えるときに、思い出すエピソードがある。

 

ちょうど今の仕事を始めた頃、日韓の学生交流事業をサポートしたことがあった。

それぞれの国から約20名ほどの学生が参加をし、日本の観光地を巡ったり、歴史認識についてディスカッションをしたり、渋谷のスクランブル交差点の前でパフォーマンス(?)をしたりする、3日間の企画だった。

 

その中で、韓国から来た学生の中に、脱北者の方がいた。(日韓関係についてのブログだが、彼の話を通して韓国の内情も見えてくると思うから、ご容赦願いたい)。

その男性は、当時33歳。高麗大学に通いながら、博士課程を履修しているらしかった。

実際の年齢よりもだいぶ上に見えた彼は、他の韓国人参加者と少し距離を置いているように見えた。そして、脱北者の方に会うのが初めてだった私に、彼はなぜかよく話しかけてくれた。

 

実は、韓国に半年ほど留学をしたことがあった私は、日常会話程度の韓国語を話すことができた。そこも、彼の関心を引いた部分だったのだろう。

 

日中のプログラムが終わって、自由時間になり、彼の部屋で色々な話をしてくれた。

彼の家族の話、北朝鮮で何を学んでいたのか、どうやって脱北したのか、、、など。

なんでも、彼の父親は政府の官僚で、彼自身も北朝鮮で有名な工業大学に通っていたらしかった。そんな彼だから、何か生活に困窮して脱北したとか、私が思っているイメージは、彼の脱北の理由ではなさそうだった。

 

色々な話を聞く中で、当然、「なぜ脱北をしたのか?」ということが気になってきた。多少、はばかられながらも、その理由を聞いてみることにした。

彼は少し考えてから答えてくれたが、それは私が予想もしていなかった答えだった。

 

日韓の色々なことについて徒然に綴るブログ始めました

「近くて遠い国、韓国」

 

日韓関係を形容する際に、よく聞く言葉である。

日本と韓国の関係性を語るとき、メディアから聞かれるのは、そのほとんどが、ネガティブなものだ。

 

社会人になって9年目になる私は、仕事柄、韓国に行く機会がたまにある。韓国に行くたび、ニュースで聞くことと実際のギャップに戸惑ったりする。

メディアと現実のギャップが、当然日韓関係においても存在するなぁと感じるのだ。

 

普段、ともすれば「国」という次元でしか私たちが考えることのない両国について、違う次元で考えてみたときに、見えてくることが多くあると感じる。

その次元と言っても、大衆文化を代表すると言われるKpopや言論などの次元ではなく、市井に暮らす人たちの姿や関係はどうなのか、と考えてみる。

 

先日、韓国に何日か滞在した。そのときは、ちょうど3月1日をまたいだ訪問だった。そう、3月1日といえば、1919年の3月1日に、「三一独立運動」が起こった日だった。

今年はその100周年に当たるということで、日本の外務省も韓国内での反日デモの警戒情報を出していた。

しかし、ソウル市内は、現政権に対するデモこそあれ、反日デモらしきものは見当たらず。国からの情報といえども、多分にバイアスがかかっていることを再認識した。

 

-日本から見た韓国。韓国から見た日本。そのイメージは、ほとんどの国民にとって、当然メディアを通して形成されるが、そのイメージは、大抵は極端なものだ。そして、関心を持ってお互いのことを調べたりしない限り、私たちはそうした極端なイメージ以外に、触れることはあまりない気がする。

 

しかし、実際にそこに暮らしている人たちの全てが極端なニュースで彩られているわけではない(というか、物ごとの切り取り方によって極端にされているだけということもよくある)。

メディアの世界で生きたこともない私が、ごくごく普通の日常の中で気づいたことを、徒然に綴ってみながら、日本と韓国を色々な角度から見てみたいと思う。