とある脱北者の方の話
韓国(朝鮮半島)のことを考えるときに、思い出すエピソードがある。
ちょうど今の仕事を始めた頃、日韓の学生交流事業をサポートしたことがあった。
それぞれの国から約20名ほどの学生が参加をし、日本の観光地を巡ったり、歴史認識についてディスカッションをしたり、渋谷のスクランブル交差点の前でパフォーマンス(?)をしたりする、3日間の企画だった。
その中で、韓国から来た学生の中に、脱北者の方がいた。(日韓関係についてのブログだが、彼の話を通して韓国の内情も見えてくると思うから、ご容赦願いたい)。
その男性は、当時33歳。高麗大学に通いながら、博士課程を履修しているらしかった。
実際の年齢よりもだいぶ上に見えた彼は、他の韓国人参加者と少し距離を置いているように見えた。そして、脱北者の方に会うのが初めてだった私に、彼はなぜかよく話しかけてくれた。
実は、韓国に半年ほど留学をしたことがあった私は、日常会話程度の韓国語を話すことができた。そこも、彼の関心を引いた部分だったのだろう。
日中のプログラムが終わって、自由時間になり、彼の部屋で色々な話をしてくれた。
彼の家族の話、北朝鮮で何を学んでいたのか、どうやって脱北したのか、、、など。
なんでも、彼の父親は政府の官僚で、彼自身も北朝鮮で有名な工業大学に通っていたらしかった。そんな彼だから、何か生活に困窮して脱北したとか、私が思っているイメージは、彼の脱北の理由ではなさそうだった。
色々な話を聞く中で、当然、「なぜ脱北をしたのか?」ということが気になってきた。多少、はばかられながらも、その理由を聞いてみることにした。
彼は少し考えてから答えてくれたが、それは私が予想もしていなかった答えだった。